
お寿司と一緒に必ずと言っていいほど添えられている「ガリ」。その爽やかな香りとシャキシャキとした食感、口の中をさっぱりとリセットしてくれる味わいは、お寿司の美味しさを引き立てる名脇役です。今回はそんなガリを、自宅で簡単に作れるレシピとしてご紹介します。
1. ガリとは?名前の由来とその役割
ガリは、薄くスライスした新生姜を甘酢に漬けた、寿司と一緒に提供
される伝統的な副菜です。口の中をさっぱりとさせる効果があり、寿司ネタの味をリセットすることで、次の一貫をより美味しく楽しむことができます。
「ガリ」という名前の由来は、生姜を噛んだときに鳴る「ガリッ」という音に由来するとも、あるいは包丁で生姜を切るときの音から来ているとも言われています。また、江戸時代にはすでに寿司と一緒に提供されていた記録もあり、実に長い歴史を持っています。
生姜には抗菌作用、消化促進、血行促進といった効果もあり、理にかなった寿司のお供として長年重宝されてきたのです。
ちなみに、ガリに使うのは「新生姜」と呼ばれるもの。一般的なひね生姜(収穫後に貯蔵されて水分が抜け、皮が硬くなったもの)とは違い、新生姜は収穫したてで皮が薄く、水分が多くて辛味がマイルド。ガリにすると柔らかく、甘酢の風味がしっかりと染み込みやすいのが特徴です。
2. 材料(作りやすい分量)
・新生姜 500g
・酢 200g
・砂糖 100g
・塩 小さじ1
3. 作り方
1.下準備
大きな新生姜は、スライスしやすいように適当な大きさにカットします。ほんのりピンクに色づいた部分は、甘酢に自然な色を加えてくれるので捨てずにとっておきましょう。
2.皮を剥く
スプーンでこそげるようにして皮を剥きます。ピーラーよりもスプーンの方が簡単に、無駄なく皮が取れます。
3.スライスする
薄刃包丁などの片刃の包丁で薄くスライスします。スライサーを使えばさらに手軽です。
4.甘酢を作る
別の鍋に酢、砂糖、塩を入れて加熱し、砂糖が溶けたら火を止めます。
5.新生姜を熱湯で処理する
たっぷりの湯を沸かしておき、スライスした新生姜をざるに入れて熱湯をかけます。熱いうちにぎゅっと水気を絞ります。
6.漬け込む
ボウルに新生姜と甘酢を合わせ、最初に取り分けておいたピンクの部分も一緒に加えます。半日以上漬け込めば、爽やかなガリの完成です。
4. 保存と仕込みのタイミングについて
ガリは甘酢の力で長期保存が可能です。冷蔵庫で保存すれば1年は美味しく食べることができるので、自宅でも一度にたっぷり仕込んでおくのがおすすめです。
実際、お寿司屋さんでもガリは毎回作っているわけではなく、新生姜が出回る初夏から夏にかけて、大量に仕込んで保存しておくのが一般的。だからこそ、年中いつ行っても寿司屋でガリが出されるのです。
新生姜の旬は例年5月〜8月ごろ。辛みが少なくみずみずしいこの時期の生姜を使うことで、ガリはより柔らかく、爽やかな風味に仕上がります。この時期にまとめて仕込んでおけば、季節を越えても美味しいガリが楽しめますよ。
もしガリを食べたときに「少し辛いかも」と感じた場合は、新生姜だけを取り出して数分間軽く茹でてから絞り、再び甘酢に戻すことで辛さを和らげることができます。お好みに応じて調整してみてください。
5. アレンジと活用方法
ガリはどんな魚にも合いますが、特にサバなどの香りが強い青魚と相性抜群です。鯖の押し寿司を作る際に、シャリと鯖の間にガリを挟むと風味が引き立ちます。
また、ガリを食べ終わったあとの甘酢は捨てずに!炭酸で割れば、爽やかな自家製ジンジャードリンクとして楽しめますよ。
お寿司のお供としてだけでなく、保存食・常備菜としても優秀なガリ。新生姜の季節にぜひ一度、手作りに挑戦してみてください。