
スーパーに並ぶ水煮のタケノコも便利だけれど、
旬のタケノコを自分で下ごしらえして食べると、風味も歯ごたえもまるで別物。
ちょっと面倒? たしかに。
でもね、一度やってみたら分かります。
「こんなに違うのか…!」と感動して、来年の春が待ち遠しくなる。
今回はそんな“春の贅沢”を味わい尽くす下処理の方法と、
タケノコ料理の中でもちょっと粋な、木の芽あえの作り方をご紹介します。
まずは素材から。おいしいタケノコの選び方
新鮮なタケノコは香りも甘みも格別。選び方に少し気を配るだけで、仕上がりに差が出ます。
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穂先が黄色く、きゅっと締まっているもの
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皮にツヤがあり、全体的に重みを感じるもの
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根元のブツブツが少なく、赤黒く変色していないもの
朝掘りタケノコなんて見つけたら、それはもう春の宝物。迷わず連れて帰りましょう。
タケノコの下処理
材料(タケノコ1本分)
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タケノコ(800g前後)
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米ぬか 一つかみ
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唐辛子 1本
手順
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穂先を斜めにカットし、皮に縦一本切れ目を入れます。根元が固い場合はカットしても良い。切れ目を入れることにより火が通りやすく、茹で上がった後は皮が剥きやすくなります。
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鍋にタケノコ、たっぷりの水、米ぬか、唐辛子を入れて火にかける。この時に落し蓋をしておくと均等に火が通りやすい。沸騰したら弱火にし、竹串が根元にスッと入るまで煮る(目安1~2時間)。
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火を止め、そのまま完全に冷めるまで待つ。
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流水でぬかを落としながら皮をむく。黄金色のタケノコが姿を現します。包丁の背で擦ると残った薄皮が綺麗に落ちます。
まずは刺身で、素材を味わう
下処理したてのタケノコは、
わさび醤油で“お刺身”にするだけでも感動の味わい。
噛むほどに、ほんのり甘くて春らしい香りが口いっぱいに広がります。
炊き込みご飯ももちろん王道ですが、
今日はもう一歩先の粋な楽しみ方、ご紹介しましょう。
タケノコとイカの木の芽あえ
春の香り、舌に踊る
材料(2〜3人分)
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下処理したタケノコ100g
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イカ(刺身用)50g
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木の芽 10枚ほど
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ほうれん草 ひとつかみ(色付け用)
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白味噌 大さじ2
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みりん 大さじ1
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酒 大さじ1
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卵黄 1個
作り方
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【木の芽味噌を作る】
白味噌、みりん、酒、卵黄を小鍋に入れ、弱火でゆっくり加熱しながら混ぜる。お好みの固さになったら火を止める。 -
【緑の香りを加える】
ほうれん草をみじん切り、またはミキサーでペースト状にし、
沸騰した湯に入れて加熱し続けると、上に細かい緑の粒が浮いてくる。
この部分を丁寧にすくって、香りと彩りのアクセントに。 -
すり鉢に木の芽をすっておいて、1の味噌、2のほうれん草を合わせ、香り立つ緑味噌に仕上げる。
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タケノコとイカをさいの目に切り、出汁でさっと火を通す。
コリッとしたタケノコと柔らかなイカ。異なる食感のハーモニーを楽しんで。 -
冷ました具材を味噌と和えれば、春の一皿の完成。
まとめ:春にしか出会えない、やさしい贅沢
タケノコを一から仕込むという手間は、
まるで春の空気をひとつずつ集めていくような時間。
風味豊かな旬の恵みを、自分の手で整える楽しさ。
この春は、水煮では味わえない香り・歯ごたえ・満足感をぜひ。
「旬をいただく」という言葉の意味を、
きっと体で感じられるはずです。