「名古屋めし」と呼ばれるほど、愛知県には個性の強い郷土料理が多い。
その代表格のひとつが、味噌煮込みうどんだ。
初めて食べた人は、思わずこう口にすることがある。
「これ、火通ってますか?」
濃厚な出汁の力強さと、独特の食感。 そのどちらもが、この料理の個性だ。
驚きとともに記憶に残り、やがてまた食べたくなる。
味噌煮込みうどんは、そうして長く愛されてきた一杯である。
この料理で使った道具
グランドシェフ ナロースライサー(筋引包丁) / 堺孝行
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スプルスまな板 一枚板 / 雅漆工芸
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アルミ 田舎鍋 / KYS
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越乃 IH 雪平鍋 / ウルシヤマ金属工業
商品を見る →豆味噌という文化
愛知県、とくに三河地方は豆味噌文化の土地である。
岡崎の八丁味噌に代表される豆味噌は、大豆と塩のみで仕込まれ、二夏二冬以上の長期熟成を経てつくられる。甘みは少なく、色は濃い赤褐色。深い旨味とわずかな渋みを持つ、力強い味噌だ。

その歴史は1300年以上とも言われ、戦国時代には保存食・携行食として重宝された。水分が少なく保存性に優れ、植物性たんぱく源でもある味噌は、実用の食品でもあった。
濃厚な豆味噌が日常にある土地では、料理もまたそれに寄り添う。味噌煮込みうどんは、豆味噌をおいしく食べるために生まれた一杯とも言える。
料理はいつも、土地の合理性から生まれる。
味噌煮込みうどんの作り方(麺から)
麺を仕込む

味噌煮込みうどんの麺は、中力粉ではなく強力粉を使う。
塩は入れず、水のみ。 加水率は約40%。
煮込みに耐えるための設計だ。
材料(2人分)
・強力粉 300g
・水 120ml
作り方
1.強力粉に水を少しずつ加え、そぼろ状にする。
2.ひとまとまりにしたら、約15分こねる。
表面は多少ざらついていてよい。
3.ラップで包み、冷蔵庫で1時間以上休ませる。
4.冷蔵庫から出し、再び15分ほどこねる。
5.さらにラップで包み、もう1時間冷蔵庫で休ませる。
6.麺棒で約5mmの厚さにのばす。
7.5mm幅に切る。
太めに切ることで、煮込みの中でも存在感が残る。
出汁を作る

豆味噌の風味を支える、かつお出汁を用意する。
材料(2人分)
・水 800ml
・出汁パック 2袋
・豆味噌 80g
・みりん 75ml
作り方
1.水800mlに出汁パック2袋を入れ、規定時間煮出す。
2.出汁パックを取り出す。
3.味噌80gを溶き入れる。
4.みりん75mlを加える。
濃いめの味に仕上げるのが、この料理らしい。
煮込む

1.出汁を火にかけ、鶏肉や油揚げなどの具材を入れる。
2.沸いてきたら、生の麺をそのまま加える。
3.蓋をして15〜20分ほど煮込む。
4.仕上げに卵を落とす。
鍋の中で、味噌と麺が一体になっていく。
土地の味を食べるということ
味噌煮込みうどんは、 単に濃い味のうどんではない。
豆味噌という文化、 煮込みを前提とした設計、 そして日常の中で磨かれてきた調理法。
料理も道具と同じで、 人の暮らしの積み重ねが形になったものだと思う。
ふるさと鍋で煮込んだ一杯は、 どこか素朴で、どこか合理的。
それがこの土地の味だ。



